ウレタン接着剤の特徴⇒発泡するため固定はクリップで強めに
さて、今回の記事ではウレタン接着剤の使い方と特徴を解説していきます。
ウレタン接着剤の中身はウレタン樹脂となりますが、こちらは本当に身近に使われている材料となります。日常品では食器を洗浄する「ウレタンスポンジ」「ウレタン製ゴム手袋」や最近は「ウレタンマスク」もコロナで使用している人が多くいたと思います。
また身近な分野ではなく、工業の分野では射出成型を使用したウレタン樹脂で産業工業のラインでのシール材やパッキンにはじまり、自動車の様々なパーツに使われております。
さてこのウレタン樹脂はもちろん接着剤にも広く使われており、ウレタン接着剤は建築工業含めて歴史の長い接着剤になります。
このウレタン接着剤を皆様が使用する場合は下記のように1液ウレタン接着剤を使用するのがほとんどだと思います。そのときの注意点を述べていきたいと思います。
この接着剤は反応的にどうしても発泡するために
「しっかりとクリップで部材を固定する」を守ってほしいと思います。
化学式が得意な方に詳しく話すと(文系の方は飛ばしても問題ありません(笑))
1液のウレタン接着剤は求核付加反応で進む反応です。ウレタン結合をつくるもとの官能基はーNCO基のイソシアネート基が、これが空気中の湿気と反応して脱炭酸してーNH2基のアミン基に変化します。このアミン基が再度イソシアネート基に攻撃してウレア結合ができていき、高分子に変化するのがウレタン結合の反応となります。
つまりどうしても硬化するためには脱炭酸、二酸化炭素が発生するためにこの接着剤は発泡する原理となります。
ウレタン接着剤は本当は性能もよく進めたいのですが、接着剤初心者が「可使時間」「養生」+「発砲を抑える固定」まで守って使ってもらうのは酷だと考えており、接着剤を使いこなした方に是非とも使ってもらいたいと思います。
射出成型用ウレタン接着剤の裏話⇒高温で液状化して使用する
射出成型用ウレタン樹脂をウレタン接着剤と定義していいのかは議論が分かれそうですが、私はこれを接着剤と定義して進めていきたいと思います。
射出成型用ウレタン樹脂はホームセンターで使用している接着剤に使用している材料とは異なっていることが多いです。安いウレタンスポンジならともかく、工業用途で使用するには「耐摩耗性」や「耐久性」等でそれ相応の性能が求められます。
この射出成型用のウレタン樹脂の中には「常温で固体」のものが存在しており、射出成型はそれらの樹脂を加熱すること(大体180℃から450℃くらい)で溶解して瞬時に型枠に流し込んで固める手法のことを言います。
このような技術によって高性能は樹脂を生み出しており、高性能ウレタン樹脂として飛行機の座席スポンジに始まり、自動車等の様々な用途でつかってもらっております。
日常使いする接着剤においては加熱して使うのは限られた用途であり、前回紹介したホットメルトのみだと思います。(最後の反応性ホットメルトはウレタン接着剤の枠組みのも入っております)
接着剤はもちろん高性能であるべきですが、皆さんに使い勝手が良いものとして提供する両方の特性を持って開発されていることを覚えてほしいと思います。
ウレタン接着剤は日光に弱い?⇒高機能品は対応しているが、安価品は弱い
最後はウレタン接着剤の耐候性の話題です。用途によっては接着剤に日光の光が当たることが想定されると思います。
そのなかでウレタン接着剤は「日光に弱い」ことが話題に上がります。これは建築用途のシーリング材でも議論があがります。(ちなみに建築用途はウレタンシーリング材は耐候性が悪いために必ず塗装するような仕様になっております)
実際はどうなのか私も検証したことがあります。結論は弾性接着剤として比べる、
「変成シリコーン接着剤」「ウレタン接着剤」では変成シリコーン接着剤の方が優れているとの印象です。ただし、最近はこれらの劣化因子であるラジカルを抑える添加剤の技術が上がり、高性能なウレタン接着剤は耐候性が良いといわれる変成シリコーン接着剤と変わらないものがでてきております。
長年の開発歴史で多くの課題は解決方向に進んでいると思いますので是非ともウレタン接着剤をつかってみていただければと思います。
さいごに
接着剤マスターの道の六回目の記事になります。ウレタン接着剤はまだまだ書きたいことがいっぱいありますが、すべての接着剤をまとめてから追加で書こうと思います。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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