接着剤の接着原理の深堀り!物理的接着、化学結合的接着、分子間力による接着
さて、今回は接着剤の接着原理について深堀していこうと思います!
さて皆さんはどうして接着剤は部材同士を接着しているのか知っていますか?
意外とこの原理について知らない人が多くいるのではないでしょうか。この接着原理を把握していると、接着剤カタログの記載理由や接着剤が苦手な材料を知ることができるのでぜひ最後まで読んでいってください!
接着原理① 物理的接着(アンカー効果)
接着原理①は物理的接着です。要は海の錨⚓と一緒の物理的に接合する効果です。
実際に皆さんも表面がデコボコした部材と表面がつるつるとして部材ではデコボコした部材の方がつくようなイメージがありますよね。これは接着剤がそのデコボコの隙間に入り込むことで接着力が上がる原理となります。
なので接着剤カタログには可能であれば、表面を紙やすり等で磨くとよいと書いてあります。これは表面に目に見えないデコボコをつくるアンカー効果を狙ったものであり、接着性能が劇的に変わる可能性が高いためにもし接着力がもう一息ほしい場合にはぜひ試してほしい方法となります。
接着原理② 化学的接着(水素結合)
次は一気に理系の話に突入します。文系の方はそんな原理で接着しているのかと軽い感じで読んでいただければ幸いです。
次に述べるのは化学的接着、要は水素結合です。この水素結合は身近に働いている接着効果になります。
一番なじみがあるのは私たちの身体です。私たちの身体はDNA配列で構成されています。このDNA配列にはカルボキシ基やアミノ基の種類の組み合わせでできているアミノ酸に対して、水素結合が綺麗に配列することで皆さんが知っているらせん二重構造を作製しております。
今回は接着剤の話なので生物の話はここまでにして、接着剤の部材同士の接着にもこれが働いております。例えば、木材やコンクリートの表面はヒドロキシ基(ーOH)といわれる結合が多く存在しております。
この表面のヒドロキシ基に対して、接着剤に含まれる官能基が水素結合を行うことで強固に接着するのが知られております。ただし、すべての部材が表面に水素結合のような化学結合ができる官能基を出しているわけでないのでそのような部材への接着には異なる作用で接着する必要があります。
接着原理③ 分子間力による接着
最後は一気に高校化学(今は大学になっている?)の話に進みます。これは理系でも知っている人が少ないかもしれません。
最後の部材への接着効果は分子間力による接着です。別名ファンデルワールス力です。
そもそもの話に戻りますが、なぜ水素結合が発生するのでしょうか?
これはおそらく中学までの授業では教えてくれないと思います。まずはここから掘り下げていきます。
水素結合は電気陰性度がかかわってきます。電気陰性度は原子が電子を引き寄せる強さを示す指標となります。水素結合は水素原子の電気陰性度が大きく異なる原子、例えば酸素や窒素、硫黄等が結合することで電子の偏りが発生することが要因となります。
この電子の偏りで接着するのが水素結合になります。
さて、昔の偉大な研究者は「分子」レベルでもこの作用はないのか調べてみました。
結論はこの作用が存在し、これが「分子間力」となります。
分子レベルで電子の偏りが発生することで磁石のN極S極のように電子偏り+極、ー極で接着するとの原理です。ただし、この分子間力は水素結合の1/10程度の作用といわれているために水素結合で接着する部材、例えば木材、コンクリート、金属の方が接着性能が高い傾向があり、それに対してプラスチックの方が多くは分子間力で接着しているために接着性能が低いというわけです。
これが部材による接着性能の差につながるというわけですね。
また次の記事で紹介しますが、この3つの作用が働かない部材が接着剤が苦手な材料となります。これは今の接着原理を把握したうえで考えると答えはおのずと見つかってしまうかもしれませんね。
さいごに
今回は接着原理についての記事になります。接着剤も物理的、化学的作用で接着しているためにどうしても苦手な部材が存在しております。この辺りは各社メーカーの工夫でどんどん改善されているので次の記事ではそちらを紹介していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!それではまた次の記事で。
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