接着剤が苦手な接着しにくい材料 PP,PE,フッ素樹脂
さて、今回の記事は接着剤が苦手な接着しにくい材料について話していきます。
この記事は前回の接着原理を読んでいただけるとより理解が深まると思います。
接着しにくい材料はこれらの接着原理の三要素が働きにくい材料となります。今回は皆さんに身近な材料としてPP,PE,フッ素樹脂の三つを紹介していきます。そしてこれらの材料に適した接着剤についても紹介していきます。
接着しにくい材料① ポリプロピレン(PP)樹脂
一つ目がポリプロピレン(PP)樹脂となります。構造式は下記のようにシンプルな構造です。
世の中では食品容器や食品包装等の用途が多いと思います。
さてこの構造式見てわかるように電子の偏りが起きにくそうな構造してますね。実際にこの部材は他のプラスチックに比べて極端に接着力が落ちることが知られております。
例えば、私がよくお勧めするなんでも接着すると思われる「変成シリコーン接着剤」でも「瞬間接着剤」でもPPには接着しにくいと書かれているものが多いですね。
仮に接着すると書いてあってもカタログとかも見ると通常のプラスチックよりも接着力が著しく低いことが想定されます。前回紹介した変成シリコーン/エポキシ接着剤でも引っ張りせん断試験ではPP樹脂は0.6MPaで他のプラスチック樹脂が3~4MPaの1/5~1/8となっていますね。
ただし、0.6MPaは頼りなく見えるものの1cm×1cmで接着すれば、6kgの重量を支えられるので決して低い強度でないことを伝えておきます。
さて、このPP樹脂専用接着剤がいくつか販売されております。一番多いのはプライマーだと思います。プライマーというものは接着剤の接着付与を助ける助剤になります。あらかじめ部材に塗ることで接着力が大きく改善します。今はペンタイプのように使いやすいものも販売されているので使ったことのない人は是非使ってみて下さい。
ただし世の中にはそんなプライマーも使いたくない方もいると思います。その方にはPP専用接着剤を購入するのをお勧めします。こちらはPP樹脂に接着するために開発したものです。他の樹脂への接着性能が少しいまいちになりますが、何としてもPP樹脂につけたいときにはこちらもお勧めしますね。
※こちらの商品は一般ユーザーが入手できないためにアマゾンや楽天等では購入できないためにモノタロウ等で購入する必要があるみたいです。
接着しにくい材料② ポリエチレン(PE)樹脂
次はポリエチレン(PE)樹脂ですね。こちらはPP樹脂の親戚として知られている樹脂になります。
しかし、こちらのPE樹脂に接着する接着剤を探してみたのですが、私の調べる範囲ではプライマーなしで接着するタイプは見つけることができませんでした。どうやらこのメチル基の違いで接着性能を付与するのはだいぶ苦労する様子です。(前の記事でお伝えしたように分子の電子偏りが小さいために分子間力は働きにくい構造ですね)
一般的な変成シリコーン接着剤や溶着要素で接着する溶剤系接着剤がもある程度の接着性能を有するために基本はこれを使っていただくのはベターな感じでした。
近い未来PE樹脂用接着剤が開発されるのを楽しみに待っていようと思います。
接着しにくい材料③ フッ素樹脂
最後はフッ素樹脂です。こいつも接着しない材料として有名ですね。というよりも世の中のフッ素加工、例えば料理に使うフライパンは汚れが付かないような仕様になっているのでそもそも接着されるのはかなり難しいことがわかりますよね。
フッ素樹脂がつかない理由は「よくはじく性質」「なじみにくい性質」「化学的に安定した分子構造」の三つがあります。細かく話すと長くなってしまうのでそれは別の記事で紹介しようと思いますね。
ともかくこのフッ素樹脂は接着剤にとっては難敵となります。実際に私が調べてみましたがそのままの処理で接着する接着剤は一つも見つけることができませんでした。接着と防汚れは常に技術を磨いてきている内容であるために今回はフッ素樹脂の方が勝っているといえますね。
じゃあ諦めるしかないのかと考えてしまったあなたに現状をお伝えします。
現在、これらのフッ素樹脂をつけるにはプライマー含めたフッ素樹脂への表面処理が必須と考えられています。これは理系の私でも知らなかった手法が数多くあるためにこれは接着手法の一つとして今度の記事で紹介します。ただこの処理を行えばかなりの接着性能の改善につながることが分かっています。
ただし、やっぱり接着剤をつかい身としてはそんな特殊な処理をせずに接着してほしいと願ってしまいますね。
さいごに
今回は接着剤が接着するのが苦手な材料についてです。私もこれらの製品はついてくれると本当に便利なのになあと思いながら汎用製品で貼り付けています。今は接着剤もこれからも発展する学問だと感じているのでぜひ今の材料たちにも接着する接着剤を開発してほしいですね。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!それではまた次の記事で。
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