構造用接着剤の立ち位置?溶接代替は可能なの?

接着剤の雑学

構造用接着剤の立ち位置 溶接代替との違い

さて、今回は雑学記事は構造用接着剤についてです。

構造用接着剤としてよくキーワードに上がるのが「溶接代替」です。

実際にこの言葉がつい独り歩きしてしまい接着剤の性能が過剰評価されたり、誤った使い方をされたりすることもあるみたいなので深堀してみようと思います。

一般的に構造用接着剤として使われるものは以下の三つが多いです。

アクリル接着剤」「エポキシ接着剤」「ウレタン接着剤

特に手離れのよさでは「アクリル接着剤」がもっとも溶接代替で上がる接着剤と考えています。さてこの接着剤性能を鉄鋼、飛行機にも使われているのFRP(繊維強化プラスチック)の三つで比べてみましょう。アクリル接着剤はセメダイン㈱様のメタルロックで比べてみることにしました。

それでは結果となります!(比較を単純にするために接着剤に引張せん断接着強度とFRP,鉄鋼の引張強度を示しております)

アクリル接着剤:23.2MPa

FRP 不飽和ポリエステル(充填剤含有50%):77~206MPa(≒7.9~21.0kgf/mm2)

SS400(一般構造用圧延鋼材):400~510MPa

参照:メタルロック・汎用タイプ|第二世代アクリル系|工業用|セメダイン株式会社 (cemedine.co.jp)FRP(繊維強化プラスチック)とは – 樹脂プラスチック材料環境協会 (jushiplastic.com)https://www.toishi.info/sozai/ss/ss400.html

さてこの結果を見て思ったことは接着剤はまだ鉄鋼やFRPよりも強度が一桁小さいということです。これは今の接着剤の立ち位置となります。

溶接部は金属を加工するために強度が低下する傾向があるものの溶接を使っていた場所にそのまま接着剤を使ってもらうのでは強度が足りない結果となってしまいます。

少し残念な結果にはなりますが、接着剤にはこれらの溶接とは違う大きなメリットがあります。

そうです、接着面積を稼ぐことができる点です!

これは前の「点接着と面接着」の記事で紹介しましたね。

接着剤を適した面積で使ってもらうことで溶接を超える引張強度を提供できます。ここの原理を把握せずにただ置き換えてしまうともったいないので是非とも接着剤の立ち位置を知ってもらったうえで接着剤の溶接代替を調べていただければと思います。

さいごに

今回は溶接代替の記事になります。どうしても接着剤はまだまだ強度は無機物である鉄には追い付ていない印象をうけます(ただし木材やコンクリートの強度と比べると接着剤はそれほど悪くないのでその記事もまとめたいですね)。

今やスペースシャトルの一部にも使われているFRPは技術革新により軽くて強度は鉄に近づいています。接着剤を次の100年後には鉄を超える部材になっているのではないかと思い、気長に待っていようと思います。

気になることや感想は書いていただけると執筆者のやる気につながっていきます!

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!それではまた次の記事で。

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