接着剤の耐熱温度について:やわらかい接着剤について
さて、今回は前回の「接着剤の耐熱温度」についての記事の続きになります。
前回は硬い接着剤の耐熱温度を紹介しました。思ったよりも耐熱温度は低い印象だったと思います。
今回は前回紹介できなかった柔らかい接着剤の耐熱性能を紹介していきますね。
柔らかい接着剤の耐熱性能 樹脂単独性能ならシリコーン接着剤がおすすめ
柔らかい接着剤はこれまで紹介してきた接着剤の中だと、「変成シリコーン接着剤」「ウレタン接着剤」「溶剤系接着剤」「シリコーン接着剤」があったと思います。
この中でどの接着剤がもっとも耐熱性能が良いのでしょうか?
正直言うと「接着性能」に限るとどれが一番と述べるのは難しいです。エポキシ接着剤のガラス転移温度のように樹脂自体の変化点が存在しないためです。
この理由は少し難しい話になるので文系の方は飛ばしても問題ありません。
そもそもこれまで紹介してきた柔らかい接着剤と硬い接着剤はコンセプトが違う接着剤になります。
まず高分子を加熱していくとはガラス状態(硬い領域)とゴム状態(柔らかい領域)に分かれる温度が存在することがわかっております。これが前も紹介したガラス転移温度となります。
先ほど伝えたようにガラス転移温度は樹脂構造の変異点であるためにこの温度を使用環境下で跨いでしまうと使いにくい接着剤になることは想定されますよね。
つまり硬い接着剤はガラス転移温度を使用環境で超えないように設計した接着剤に対して
柔らかい接着剤はあえてガラス転移温度は極低温に設定することで使用環境でもずっとゴム状態の柔らかい接着剤性能を有している理由となります。
このことよりゴム領域は高温環境での接着性能を評価しにくいのもそもそも樹脂自体が温度による影響が少ない点が難しい理由となります。
その中でもしいて耐熱性能を可視化するのであれば、樹脂の耐熱性能は「シリコーン接着剤」が最もよいことが知られております。
これは前のシリコーン接着剤の紹介でもお伝えしましたが、Si-Oでつながる結合は炭素同士の結合よりも安定構造であるために樹脂のみの耐熱性能はシリコーン接着剤を使うのをお勧めします。
ただし前もお伝えしましたが、接着性能と樹脂性能は必ずしも相関関係はありません。高温環境で接着剤が解けたりしないといっても接着性能がゼロになってしまうと全く意味がないものとなってしまうと思います。
ここまで話して正解を伝えられず心苦しいのですが、やわらかい接着剤で耐熱性能を確認するには必ずメーカーに問い合わせたり、実際に確認する必要性を強くお伝えしておきます。
硬い接着剤と柔らかい接着剤どっちがおすすめなの? 基本は硬い接着剤
最後に耐熱性能を求められる時にどの接着剤を結局お勧めするの?に答えていこうと思います。
これは私の中の結論は「最もガラス転移温度が高く、23℃の接着性能がよいもの」を使うとなります。
これは前回の記事で少し抜けていたところを補足となりますが。
耐熱温度はどのように規定するのかは様々ではあると思います。23℃環境での接着強さを100%としたときに、これが急激に30%以下になる温度がガラス転移温度とお伝えした形ですが、そもそも30%以下になっても硬い接着剤の方が柔らかい接着剤の23℃環境下での接着強さよりもより強靭である可能性が高いと思います。
これは硬い接着剤の方が接着性能の3要素の相互作用が多く、高温環境下でも接着性能がかろうじて保持しているためとなります。
そのために一般ユーザーが耐熱性能を求める際はガラス転移温度が高い接着剤を選んで下さい。
ちなみに補足ですが、世の中には加熱型接着剤というものも存在しております。これは工場のラインで使う接着剤になりますが、加熱工程を入れることで樹脂性能を大幅に向上することができます。中には300℃に耐える加熱型接着剤(多いのは1液エポキシ接着剤)が販売されているのでこのような接着剤にも注目するのもよいと思いますね。
さいごに
今回は接着剤の耐熱性能②についてでした。有機物である接着剤において耐熱性能は決して得意な分野ではないと思いました。ただ接着剤も次の100年でどんどんと性能が上がって耐熱性能もよくなっていくと考えているので引き続き見ていきたいと思います。
気になることや感想は書いていただけると執筆者のやる気につながっていきます!
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!それではまた次の記事で。
※このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています。
コメント