接着剤プロと初心者との認識違い:養生時間

接着剤の使い方や注意点

接着剤のカタログに記載されている養生時間は?⇒23度7日間

さて、今回の記事は「養生時間」についてです。

皆さんは各社接着剤メーカーのカタログをみたことはありますか?多くの速硬化を売りにする接着剤は実用強度到達時間を短い時間で記載しております。たとえば、接着剤メーカーで有名なセメダインさんやコニシさんでカタログを見てみると。

様々な部材で接着性能を確認しておりますが、この養生時間はどうなっているのかというと。

ほとんどの例で23度50%湿度7日間養生と記載されております(この辺りはかなり小さな文字で書いてあります)。これは接着剤初心者の方からするとなんでこんなに長い時間が必要なのかと気になると思います。というかそもそもこの23度50%湿度の理由も気になると思います。

この温度環境の理由は日本工業規格(JIS)が定める試験時の標準状態をこの温度帯に定めているためとなります。気になる人はJISは下記のURLでメールアドレスを登録すれば、無料で内容を確認できるので下記のサイトでJIS Z 8703-2009 試験場所の標準状態を確認してみて下さい!

日本産業標準調査会:データベース検索ーJIS検索 日本産業標準調査会:データベース検索-JIS検索 (jisc.go.jp)

話が戻ると接着剤は接着強さをみるために初心者が考える養生時間よりも極端に長い時間を必要としています。これは1液湿気硬化型接着剤(例えば変成シリコーン接着剤、ウレタン接着剤)では部材ごとで湿気の通しやすさが異なるためです。

要するに湿気を通しやすい多孔質部材、例えば木材やコンクリートは養生時間が短くて済むものの、鉄やアルミの金属は湿気を通さないために硬化しにくいことが知られています。そのため短い養生時間で記載してしまうと未硬化のクレームがはいることを恐れてそのような記載にしております。

皆さんに知ってもらいたいことはもちろん部材依存が大きいことがあるものの、世の中の瞬間接着剤を除く1液の湿気硬化型接着剤は最低でも7日間以上は養生時間をとる必要があることです。

養生時間をそんなに待てない人にこっそり教える養生時間を短縮する方法は?⇒ドライヤー使用と加湿器使用

ただし実際にそんなに硬化するまでの養生時間を待てない人には接着剤プロはどんな手段を用いるのがよいかここで説明します。

結局のところ、1液の接着剤は湿気による硬化。2液の接着剤でもほとんどはA剤、B剤が混合して反応することで進みます。要は反応系なのである程度の熱を加えると反応が早くなることが知られております。

工場ラインとかでは50度、80度の温度をかけて速硬化させることができるのですが、日常の我々ではそんなことができないためにおススメはドライヤーを使うことです。もし低温調理可能な家庭用オーブン等で80℃程度で加熱できるのであれば、その方法は一番手間がかかならいのでおすすめです。

部材を固定した後に外から温風を与えると硬化が進んで想定した養生時間よりも短くすむことができます。目安は部材によって様々ですが、80℃30分~1時間の加熱で十分な強度発現が見込めると思います。

もう一つは1液湿気硬化型接着剤は要は湿気の量で反応が進むために多湿環境で養生すると硬化が早く進みます。なので加湿器を用いるのも一つの方法です。ただし、湿気で固まるなら水につければ早く固まるかなと思って水につけるのはやめてください。

水にどぶづけして無理やり固めようとすると水が部材同時の接着面に界面に侵入して接着力が低下する恐れがあります。硬化を早める際にはあくまで空気中の湿気を増やす方法を使用してください。

瞬間接着剤よりも早く固まる接着剤は?⇒2液アクリル接着剤(ケミカルアンカー)

さて最後は接着剤マニア向けのちょっとしたトピック記事です。世の中には瞬間接着剤よりも早く固めたいのだが何か他の接着剤はないのかとの提案が存在します。

私のような接着剤マニアが進めるのは「2液アクリル接着剤(ケミカルアンカー)」です。

まずアクリル接着剤を見たことがある人は少ないと思います。これは基本ホームセンターでは売っていないために建材屋さん向けの接着剤になります。(今は世の中が便利になってインターネットを用いれば普通に購入することができます)

このアクリル接着剤は手離れの良さで溶接代替として注目を浴びている接着剤となりますが、これを北海道のような極寒地区向けた製品が世の中には存在します。

その一つに現場の金具固定や器具等を土台に固定するアンカー使用にケミカルアンカーといわれる接着剤が存在します。これは接着剤が苦手とされる北海道の冬場のような-10℃環境下でも12時間以内で実用強度近く立ち上がります。

仮に日本の平均的な気温23℃で使おうものならものの数分で強度が実用強度に立ち上がってくれます。

ただここまで話すとこの記事を読んでいただいている皆様ならお気づきかもしれませんが、そんな早い立ち上がり強度の製品は可使時間が極端に短くなってしまうことが推測できると思います。

そのためあくまでこんな接着剤を使いましょうというよりも一つの記事として紹介させていただきます。

最後に

今回はみんなが勘違いしている養生時間をまとめてみました。養生時間を守るこれだけで皆さんのちょっとした困りごとを解決できると思うのですが、まだまだ周知が足りていないと思いますのでこれからも少しずつ記事を増やしていきたいと思います。

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!また次の記事で。

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