接着剤は点接着ではなく面接着に!
さて、今回の記事は「接着面積」についてです。
接着剤の利点を理解して使うことがとても大切です。接着剤を使う初心者の方はついつい点接着で使うことが多いです。でも、接着剤の本来の良さは「面接着」ができるということです。
例えば下の図は合板同士を釘で止めた点接着(左図)と接着剤(オレンジ色)で固定した面接着(右図)となります。釘で固定した場合は一箇所に力が集中しやすく壊れやすいのに対して、接着剤は均等に力を負担するために接着性能は優れた結果となります。このように接着剤は本来小さな面積で使うのではなく面で使える用途に適したものです。
カタログ値1MPa(N/mm2 )=接着面積1cm×1cmで約10kg支えらえる!
次はカタログ値の荷重換算についてです。多くのカタログでは部材ごとの引っ張りせん断試験で1MPa(又は1N/mm2)等の単位で記載されていることが多いと思います。
実際、この荷重はどの程度なんでしょうか。理系なら簡単な値ですが、復習だと思ってみて下さい。
この1MPa(N/mm2)は要するに1mm2の面積で1Nの荷重を支えられる。つまり、これは1cm×1cmの幅で接着剤を塗布した際には約10kgの荷重を支えられるものとなります。
これは極端な例ですが、先ほどの面接着を1mサイズで張り合わせると約10tの荷重を支えることができる性能になります。この面で張り合わせる性能は釘のような点接合ではできない特徴となります。
雑学:最強の接着剤は鋼鉄をも破壊する!?
さて最後はまたまた接着剤マニア向けのちょっとしたトピック記事です。
このように面接着をすると大きな性能を出すことを知ることができたと思います。これは理論的には接着剤の選定と塗布方法次第で鋼鉄部材よりも優れた性能を発揮することができます。
例えば、構造用部材として有名なSS400(一般構造用圧延鋼材)を考えてみましょう。今回は6mm厚みと仮定すると、引張り強さは400~510N/mm2の規格になっています。これを先ほどの1mサイズで考えるとSS400が破断するのに必要な荷重は「MAX:306000N」となります。
多くの接着剤メーカーが販売している高強度の接着剤(エポキシ接着剤又はアクリル接着剤)は20MPaを超えるものとなります。仮に20MPaの接着剤を使用した場合は、接着面積が「100mm×153mm」となります。これはこの接着剤面積を担保すれば、鉄を超える設計ができるかもしれません。
最後に
今回は接着面積のお話にしました。接着剤は面で使ってくれれば金属にすらかつ見込みがあるものとなります。みんなに接着剤の可能性をこれからも発信していきます。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!また次の記事で。
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